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一条鴎の心の叫びに思うこと ~LINEノベル「だれもカノジョのカオをしらない」感想(ネタバレあり)~

※注意 この記事にはLINEノベル「だれもカノジョのカオをしらない」(やまなしレイ作)の最終話までのネタバレが含まれています。本編を最後まで読んだあとに読むことを推奨します

 

 

 

 

 

 

「準稀はさぁ、顔の悪い女に生まれちまった人生がどんなだか分かる?」(一条鴎)

 

 

先月無事に完結したやまなしレイさん作のLINEノベル「だれもカノジョのカオをしらない」、自分は13話あたりを読んでいる途中で「鴎の正体はズバリ、準稀の血のつながった双子の妹だ(ドヤァ)」と、記事まで書いて予想しました。正直、心の中では8割くらい当たってるだろう、ミステリーの犯人を読者が先に分かってしまった感じで作者に申し訳ないな・・・とうぬぼれていました。

 

みごとに予想は外れ、鴎と準稀は他人同士でした!!

 

クゥ~~、さすがですやまなし大先生!!てな感じですよ。

予想が外れちゃったので自分、鼻でスパゲッティ食べるようですかねえ?

 

まあ、そんな自分の的外れ予想はさておき、

 

自分はこの作品でコンプレックスに飲み込まれてしまっている一条鴎さんにとても共感し感情移入をしながら読んでいました!!

 

上に抜粋した台詞にあるように「顔の悪い女に生まれちまった」って自分ではっきり断言しているところが読んでて辛かったなあ。

 

自分も今している仕事の給料が上がらない、年収が低いっていうコンプレックスがあるけど、

 

「準稀さんよぉ、〇〇年間の給料がほとんど上がらない、年収が低い仕事を選択してしまった男の人生がどんなだか分かるか?」なんて、例え本当のことだとしても口に出したくない!!

 

というか抵抗があるんですよね。どうにか自分の弱みをごまかしたいというか、年収が低くても自分はプライド持ってやりがい感じて好きでやってるんだ、だから自分にとって年収はコンプレックスではない・・・と他の人には言い張りたいというか。もちろん、どんなに言い張ったところで現実問題給料低いことを気にすることが多いので自分としてはコンプレックスなんですけど。

 

なので自分の弱いところをはっきり口に出して準稀に主張する鴎さんはコンプレックスに対して負けを認めているというか、飲み込まれてしまっているように自分は感じましたね~。

 

そんな鴎さんに、自分は一言モノ申したい!!

 

「世の中顔以外で戦ってる人はいっぱいいるし、歳とったら結局中身で勝負の世界になるよ」

 

と、思うんですよねえ 。自分は男なので女性の鴎さんの「顔が悪い」というコンプレックスを完全に理解することができない+鴎さんは小説のキャラクターなので実際の顔を自分は知らない、ということを踏まえても外見至上主義が世の中の全てではないと自分は思うんです。

 

自分も顔は良いほうではないので日々思っていることなのですが、「いかに中身の方を充実させて顔の方をリカバリーするか」だと思うんですよね。そして何より「他人との比較よりも自分自身の楽しさと納得を優先させて生きていくことが大切」というか。

 

鴎さんは周りの人と自分を比較して物凄く傷ついているのがいかにも中高生らしいけど痛々しい、まるで昔の自分を見ているように感じたんですね。

 

だから物語の最後、

 

彼女が透明な姿のまま準稀のもとから去っていくのはコンプレックスに飲み込まれたまま社会とのつながりを絶ってしまう敗北エンドのように自分は感じました。

 

だからこそ、是非やまなしさんに「カカない」の続編を書いてほしいなあと自分は思います。

 

今まで読んできたやまなしさんの漫画・小説のなかで一番共感できて、なおかつ一番痛々しくて、なにより一番成長した姿を見てみたいヒロインが「一条 鴎」でした。

 

終わり方は正直悲しいなあと思ったけど、

 

ここまでコンプレックスに悩む魅力的なヒロインを描けたという事実だけで「カカない」は素晴らしい小説だと自分はおもいます。

 

最後に、鴎さんと準稀がゲーム実況をする場面がとても楽しく描かれていて、自分もゲーム実況したくなりました!! 

 

ゲーム実況をするってもしかして漫画「その日 世界は・・・」で使う予定だったネタだったりしますかね?介護に専念するために仕事を諦めた夏央が自分の声優スキルを役立てるために趣味でゲーム実況をする、とかまだ出てもいない2巻以降の物語を勝手に想像しながら次のやまなしレイさんの描く物語を楽しみに待っています!!